水の都の芸術~イタリア・ヴェネツィア~

こんにちは!
旅中に得たスキル「街の繁華街をすぐにかぎつけること」なオガタです!
今回は”水の都”と呼ばれる水路の景色が美しいヴェネツィアです。
世界一美しい広場、リノベーションされた美術館、ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展と盛りだくさんです。水路好きな方からアート好き、建築好きの方までぜひご覧ください!


ローマから水の都、ヴェネツィアまで移動してきました!

100を超える島々からなるエリアで道路の代わりに水路が活用されており、伝統と装飾が融合した街並みは多くの観光客でにぎわいます。こんなに積極的に水と暮らしている街に敬意を表したくなりました。

ヴェネツィア本島の相場が高かったのもあり、今回の宿は電車で橋を渡った先の本土の宿にしました。宿の内装に古いコンテナを使用するなど工夫をこらしており、内部もきれいで居心地がよく、すぐにお気に入りの宿になりました!

宿に荷物を置いたら早速ヴェネツィア本島散策へ向かいます。
本島の電車駅の近くには大きな橋がかけられています。
少し進むとすぐに入り組んだ水路の光景に出会えます。 水路の複雑さと架けられた橋の位置を把握していないとすぐに迷子になります。
こんな行き止まりもしょっちゅう……。
人がすれ違えないようなこんな細い通路もしばしば……。

街を散策するにも簡単には好きなところにたどり着けません。
道中にはこんな仮面もありました。

やっとの思いで、目的地に。ナポレオンが”世界一美しい広場”と称賛したサンマルコ広場にたどり着きました。

時計塔がシンボル。

広場の周りにある建物のひとつ「サンマルコ寺院」。細分化された柱の構成や屋根の上の多数の石造、外壁の細やかな装飾にじっと見入ってしまいます。


■プンタ・デラ・ドガーナ


17世紀の税関だった建物を構造補強や増水対策の観点から修復・保存を目的として改修が行われました。設計者は世界的建築家の安藤忠雄氏。建設時はヴェネツィアの伝統的建物の改修に日本の建築家が計画することをよく思わない地元の人によって反対運動まで行われたそうです。

そんな過程を経て2009年に建物の改修が完成し、20-21世紀の美術品3000点を収蔵する美術館へと生まれ変わりました。

過去の改築による増設された間仕切り壁などを取り、木造トラス小屋組とレンガ壁建設当初の姿に戻しました。そこに構造補強も担うコンクリート壁を追加しました。3つの素材が調和し、洗練された空間となっていました。

 

 


■ヴェネツィア・ヴィエンナーレ国際建築展(2018年5月-11月)

偶数年に開催される国際建築展覧会。今回で16回目を数える展覧会はこの旅で訪れたいイベントのひとつであったため2日間かけて多くの建築と触れ合いました。2会場に分かれて各国からの展示と個別の建築家による作品・提案が展示されています。

・ジャルディーニ会場(市内最大の公園)
日本の展示がある会場から周りました。日本のテーマは「東京発 建築民族誌~暮らしのためのガイドブックとプロジェクト~」でした。緻密なドローイングをメインとした展示で密度の高い展示にエネルギーを感じました。

他の国の展示を紹介します。

・フランス

身の回りの”もの”をメインに展示し、そこから派生した建築を模型にて展示していました。

・オーストラリア

室内の植物が新たな地面をつくっていました。

・デンマーク

地球環境に配慮したシェルターのような球体。説明文が難しくてしっかり理解しきれませんでした。

・オランダ

オレンジ一色の壁に格子状のグリッドが入り、コインロッカーのようにドアが開き、それが扉にもなり隣の部屋とつながっている空間でした。

・セントラルパビリオン

建築家個別の作品などが集まっているパビリオン。
若手建築家からコルビュジエなどの巨匠のスケッチも展示されていました。

 

・アルディーニ会場(旧国立造船所)
2日目は造船所跡の会場を訪れました。倉庫の中に配置される無数の作品達。

今回の旅で最も感銘を受けた建築がこちらです。

「Bamboo Theater」DNA_DESIGHN AND ARCHITECTURE(中国)

竹林の中の劇場。自生の竹を折り曲げてドーム状の劇場をつくるという作品でした。建築の基である空間・場を既存の素材を使い最小限の操作で構成している提案のスマートさとさらにできあがったものが美しい。提案の発想の姿勢と場の作りかたにすごく共感できた作品でした。色んな国で多くの建築を実際に見て回っているのに、最も感銘を受けたものをまさかこの目でみられないとは……。いつか現地を訪れてみたいと思います!

その他の作品はこちらです。

床に寝そべり見上げて鑑賞する作品
繊細な光のグラデーションと線形の模型による幻想的な展示
イタリア館のゲート。建物の背を越えたサイズのエイジングされた鋼板が印象的。

樹脂のような素材の小さなパーツを積み上げて柱・屋根への構成へと展開した作品。

世界中のひもを壁面にとめ、地図を貫き場所を示す展示。

2日間に渡り数多くの建築作品に触れ、多くの刺激をもらいつつ自分のエネルギーを使い果たしました……。美しい水路の街並みから、伝統をこの先へつなげるリノベーションされた美術館、世界の建築のエネルギーに触れた国際建築展と充実した滞在でした!


最後までお読みいただきありがとうございました。次回のオガ旅もお楽しみに!

株式会社翔設計、海外特派員の尾形でした。

海沿いに佇む線材によるうねりのパビリオン

古代ローマの風格と芸術の宝庫 コロッセオとバチカン美術館/イタリア・バチカン市国

こんにちは!旅中に得たスキル「日本・韓国・中国人を一瞬で見分けられるようになったこと」なオガタです!今回はローマを代表する円形闘技場 コロッセオと、所蔵品数・大きさが世界最大級のバチカン美術館です!2000年の時代の経過をコロッセオで感じ、絵画を初めとする美術品に全身で触れられるバチカン美術館。古代ローマ好きから、闘技場、アート好きな方までぜひご覧ください!


最初は西暦80年に建設された有名な古代ローマ時代の闘技場、コロッセオ。建物は楕円形で長径188m、短径156m、高さが48m、約5万人収容できる大きさです。

外観の黒い穴は足場用の木材を固定するための穴。 なんとか持ちこたえた外壁と、円形の建物のアーチの曲がり具合にグッときます。

1時間半ほど外で待っている間、観光客に水を売っていたおじちゃんたちが、警官がきた瞬間商品を置いて一目散に逃げていくというなかなか見れない瞬間に立ち会いました(笑)そんな余興も見つつようやく中へ!
天井が高く、両側の大きなアーチが並ぶ通路を進んでいきます。

通路途中の看板の中には小さな兵士が(笑)
当時の再現模型。精巧な作りであったことが伺えます。

現在の建物はコチラ!

外壁や床などの原型は留めつつも中央に向かう斜めの壁や梁では崩れているのが見受けられます。中央の壁が立っている場所は地下部分で2階分の深さがあります。ここは剣闘士の部屋や、猛獣の檻、剣闘用の道具などが置かれていたそうです。

コンクリートのみの構成の建物ですが全壊を免れたのは円筒形の形状により、力が中央へ集まり建物全体で応力を分担できたためです。この斜めの壁がうまく作用しているのでしょうね。

当時の眺め
現状の建物

当時の眺めと現状の建物。円形方向のアーチはきれいに残っているのが伺えます。

場所によって鋳鉄にて補強が行われていました。
崩落場所があってもアーチの連続はなんとか残っています。

さすがローマを代表する建物だけあり、当時の技術と2000年の歴史を体で感じさせられる建物でした!


次はバチカン市国内にあるバチカン美術館です。

約500年前に建てられた、世界最大級の所蔵品を有する美術館です。展示コースはなんと7kmもあり、隅々まで見て回るのには1週間かかるとも言われています!

壁から天井にまで及ぶ美術品には圧倒されます!
パンテオンを想起させるドーム型の室。ドーム天井のレリーフはすべて絵で描かれています!

 

トイレの階段。スリップ注意の表示が可愛い。
中央に位置する中庭。開放的で気持ち良かったです。
ここは地図のギャラリー。両側の壁面120mに描かれた地図のギャラリーなんですが、まず天井の絵画と彫刻のまばゆさに目を奪われます!

1500年代に描かれた地図。地球の全貌がやっと見え始めた時代の地図と思うとワクワクしました!

ここはもはや至るところが絵に覆い尽くされていました。
こんな巨大な絵が平然と飾られているスケールのでかさと、色味の深さにじっと見入ってしまいました。

写真を撮れなかったのですが、最後にはシスティーナ礼拝堂がありました。ここは天井に「創世記」、祭壇壁画に「最後の審判」が描かれている最大の見所です!
ミケランジェロが4年もの歳月をかけて描いた超大作を思う存分に眺めて堪能しました。

最後は出口へと向かう螺旋階段。

この階段、上りと下りが分かれている構成なのですが、上下が一つに見える不思議な階段となっています。その操作のひとつとして、床の色分け(白とグレー)の間隔を変えていたり、色味を変化することでそのような錯視効果を生み出していました。

 

作品の数とエネルギーに圧倒され見終わったころはヘトヘトになりましたが、しっかりと充実感が残る世界最大級の美術館でした!


最後までお読みいただきありがとうございました。次回のオガ旅もお楽しみに!

株式会社翔設計、海外特派員の尾形でした。

コロッセオのスケールにかすむオガタ